<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 琵琶引>
<Format: 格式不明>
<Year: 2000>
<BookName: 校注唐詩解釈辞典>
<Translator: 松浦友久>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 琵琶行（びはかう）　序（じょ）を井（あは）す>
<BookPage: 548>
<UsedPage: 1>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
潯陽江頭夜送客，
楓葉荻花秋索索。
主人下馬客在船，
舉酒欲飲無管弦。
醉不成歡慘將別，
別時茫茫江浸月。
忽聞水上琵琶聲，
主人忘歸客不發。
尋聲暗問彈者誰，
琵琶聲停欲語遲。
移船相近邀相見，
添酒迴燈重開宴。
千呼萬喚始出來，
猶抱琵琶半遮面。
轉軸撥弦三兩聲，
未成曲調先有情。
弦弦掩抑聲聲思，
似訴平生不得意。
低眉信手續續彈，
說盡心中無限事。
輕攏慢撚抹復挑，
初爲霓裳後六幺。
大弦嘈嘈如急雨，
小弦切切如私語。
嘈嘈切切錯雜彈，
大珠小珠落玉盤。
間關鶯語花底滑，
幽咽泉流水下灘。
水泉冷澀弦疑絕，
疑絕不通聲暫歇。
別有幽愁暗恨生，
此時無聲勝有聲。
銀缾乍破水漿迸，
鐵騎突出刀槍鳴。
曲終收撥當心畫，
四弦一聲如裂帛。
東舟西舫悄無言，
唯見江心秋月白。
沈吟放撥插弦中，
整頓衣裳起斂容。
自言本是京城女，
家在蝦蟇陵下住。
十三學得琵琶成，
名蜀教坊第一部。
曲罷曾教善才伏，
妝成每被秋娘妬。
五陵年少爭纏頭，
一曲紅綃不知數。
鈿頭雲箆擊節碎，
血色羅帬飜酒汙。
今年歡笑復明年，
秋月春風等閑度。
弟走從軍阿姨死，
暮去朝來顏色故。
門前冷落鞍馬稀，
老大嫁作商人婦。
商人重利輕別離，
前月浮梁買茶去。
去來江口守空船，
繞船月明江水寒。
夜深忽夢少年事，
夢啼妝淚紅闌干。
我聞琵琶已歎息，
又聞此語重唧唧。
同是天涯淪落人，
相逢何必曾相識。
我從去年辭帝京，
謫居臥病潯陽城。
潯陽小處無音樂，
終歲不聞絲竹聲。
住近湓江地低濕，
黃蘆苦竹繞宅生。
其間旦暮聞何物，
杜鵑啼血猨哀鳴。
春江花朝秋月夜，
往往取酒還獨傾。
豈無山歌與村笛，
嘔啞嘲哳難爲聽。
今夜聞君琵琶語，
如聽仙樂耳暫明。
莫辭更坐彈一曲，
爲君飜作琵琶行。
感我此言良久立，
却坐促弦弦轉急。
淒淒不似向前聲，
滿座重聞皆掩泣。
座中泣下誰最多，
江州司馬青衫濕。
<End Poem>
<Translation>
潯陽江のほとりに、夜、旅立つ人を見送れば、あたりの楓樹の葉や荻の花には、秋風が寂しげな音をたてて吹きよせていた。
見送るわたしは馬から下り、旅ゆく友は船のなかにいる。杯を拳げ別れの酒をくもうにも、ここにはあいにくと音楽もない。
酔いはしたものの心は楽しくなく、わびしく気の晴れぬままに別 れようとした。この別れの時、果てしなく広がる大江は水面に月光を浸して流れていた。その時ふとどこからか、水のうえを流れる琵琶の音を聞いて、わたしは帰ることを忘れ、旅ゆく友も出立しようとしなかった。
音をたよりに、弾いているのは誰かとひそやかに尋ねてみたが、琵琶の音はやんでも、なお相手は返事をためらっている。
そとで船を移動させて相手のほうに近づけ、呼びむかえて会おうとした。そしてさらに酒を追加し灯の向きを変えて再び酒宴をやりなおすことにした。何度も何度も繰り返し呼んでやっと船から出てきたその人は、それでもやはり琵琶を胸に抱えて、その影に顔を半分かくしている。 
琵琶の音じめをしバチで絃を二声三声かきならすと、まだメロディーをなしていないのにはやくも感情がこもっている。一絃一絃、 掩い抑えるようにして弾けば、一つ一つの音に深い思いがこめられており、あたかも日頃とげられぬ胸の内を訴えているかのようである。伏し目がちにうつむいて手の動くままつぎつぎと弾いてゆき、
まるで心のなかの限りない思いを表現しつくしているかのようだ。
絃を指で軽くおさえ、ゆるやかにひねり、さっと下にかきはらってはまた上へとはねあげる。はじめは寛裳羽衣の曲を演奏し、ついで六糸の曲を奏でる。
太い絃は荒々しくまるで夕立ちを思わせるかのようであり、細い絃はかすかでひそやかなささやき声を聞くかのようである。 
荒々しい音とか細い音とが入りまじって弾かれると、まるで大粒と小粒の真珠とが、玉で造られた皿のうえに落ちるかのよう。そしてその音は、花の下でのびやかにさえずる鷲のようによどみなく、
また、氷の下でかすかにむせびなく水の流れのように滞りがち。
まるで、冷たい泉の流れが凍りついたように絞の音は凝結し、凝結し途絶えると琵琶の音はしばらくの間やんだ。 
すると今度は、別に深いかなしみやひそかな選が生まれてくる。
こんな時、音のないほうが音のあるより勝っている。そしてまた演奏されると、その音はまるで銀のかめが急にわれて、水がほとばしり出るようであり、鉄のよろいをつけた騎兵が突然あらわれて、剣や槍をたたかわせているかのようである。
曲が終わり、バチを手もとに引き、胸さきで大きく弧を描いて絃をはらうと、四本の絃が一度に鳴り、まるで絹をさくような音がでた。東の船も西の航も、みなひっそりとして声もなく、ただ見えるのは、長江のまんなかに、こうこうと白く冴えわたる秋の名月。
女は深いもの思いにうなだれてバチを置き紋にさしはさむと、衣服の乱れを整え、立ちあがって居ずまいを正した。
そして自分から語っていうには、「わたしはもともと都の女でございます。家は蝦墓陵のあたりにあり、そこで暮らしておりました。13の年に琵琶を習得して一人前となり、その名は歌舞教習所の第一級奏者のうちに連なりました。曲を弾き終えては師匠を感服させたこともあり、お化粧が仕あがるといつも秋娘のような美人にさえねたまれるほどでした。富貴な人々の子弟たちは、争って贈り物をしてくれ、一曲終わるごとにいただく紅い絹は、数えきれません。螺鋼細工の雲形のこうがいは、拍子をとって撃ち砕け、真紅の うす絹のスカートは、酒をこぼして汚してしまうありさま。今年もそして明年もと、歓楽のうちに時を過ごし、秋の月、春の風をうかうかと過ごしてきたのでありました。やがて弟は家を出て軍隊に入り、母も亡くなり、今日を送り明日を迎えているぅちに、いつしか私の容貌も衰えました。家の前はさびれ、馬に乗ってやって来る客の姿もまれになり、そして年老いたわたしは商人の妻になったのでございます。商人は金もうけばかりが大切で夫婦の離別などとんと気にとめず、先月、浮梁へお茶を仕入れに出かけてしまいました。
それ以来というもの、わたしは猫のほとりで 夫のいない船を守り、その船のまわりには月の光が明るく照りはえ、江の水は寒々としています。夜が更けて、ふと背春時代のできごとを夢にみては、夢のうちで流した涙が、化粧した顔の脂粉に染まって、紅くはらはらと流れるのでございます」。 
わたしは女の弾く琵琶の音を聞いて嘆息したのだが、そのうえまたこの話を聞いてさらに深いため息をついた。わたしも女も、ともに都から遠く離れた天の果てに落ちぶれている身の上。二人が出会って心が通じあうためには、必ずしも昔からの知りあいでなくてもかまわないのだ。
わたしは去年、都に別れをつげてから、この舞陽の城に左遷の日々を過ごし、病の床に臥している。潯陽は小さな田舎まちで音楽とてなく、わたしは一年中、琵琶や笛などの音を耳にしたことがない。住まいは溢江に近く土地は低く湿っぽい。そして黄色い蘆と苦竹とが、家の周囲に生えている。このあたりで朝夕に聞こえるものといえば、血を吐いて悲痛になくほととぎすとかなしげになく猿の声だけである。春のべに咲く花の朝、美しい秋月がかかる夜ともなると、しばしば、酒を取り寄せては独り枠を傾ける。きこりの歌や農夫の笛の音がないわけではないが、粗雑で調子はずれのため、聴いてはいられない。今夜、あなたの琵琶の音を耳にして、まるで仙人の音楽でも聞くかのように、わたしの耳も洗われた思いがしました。どうか辞退しないでください。坐りなおしてもう一曲弾いてくれませんか。わたしはあなたのために、それを琵琶のうたに作りなおしましょう。
女はわたしのことばに感激してか、長い間立っていたが、退き坐して琵琶の絃を締めれば、かきならすの音はますますせわしくなる。悲しく痛ましいその響きは、さきほどの音とは比ぺものにならず、座中の誰もが、再び演奏を聞いて、それぞれにみな涙でぬれた顔を手でおおった。なかでも殊に、誰が一番多く涙を流したかといえば、ほかならぬ江州司馬のこのわたしで、青い上衣を涙でしとどにぬらしてしまったことだ。
<End Translation>
<Formatted Translation>
潯陽江のほとりに、夜、旅立つ人を見送れば、
あたりの楓樹の葉や荻の花には、秋風が寂しげな音をたてて吹きよせていた。
見送るわたしは馬から下り、旅ゆく友は船のなかにいる。
杯を拳げ別れの酒をくもうにも、ここにはあいにくと音楽もない。
酔いはしたものの心は楽しくなく、わびしく気の晴れぬままに別 れようとした。
この別れの時、果てしなく広がる大江は水面に月光を浸して流れていた。
その時ふとどこからか、水のうえを流れる琵琶の音を聞いて、
わたしは帰ることを忘れ、旅ゆく友も出立しようとしなかった。
音をたよりに、弾いているのは誰かとひそやかに尋ねてみたが、
琵琶の音はやんでも、なお相手は返事をためらっている。
そとで船を移動させて相手のほうに近づけ、呼びむかえて会おうとした。
そしてさらに酒を追加し灯の向きを変えて再び酒宴をやりなおすことにした。
何度も何度も繰り返し呼んでやっと船から出てきたその人は、
それでもやはり琵琶を胸に抱えて、その影に顔を半分かくしている。 
琵琶の音じめをしバチで絃を二声三声かきならすと、
まだメロディーをなしていないのにはやくも感情がこもっている。
一絃一絃、 掩い抑えるようにして弾けば、一つ一つの音に深い思いがこめられており、
あたかも日頃とげられぬ胸の内を訴えているかのようである。
伏し目がちにうつむいて手の動くままつぎつぎと弾いてゆき、
まるで心のなかの限りない思いを表現しつくしているかのようだ。
絃を指で軽くおさえ、ゆるやかにひねり、さっと下にかきはらってはまた上へとはねあげる。
はじめは寛裳羽衣の曲を演奏し、ついで六糸の曲を奏でる。
太い絃は荒々しくまるで夕立ちを思わせるかのようであり、
細い絃はかすかでひそやかなささやき声を聞くかのようである。 
荒々しい音とか細い音とが入りまじって弾かれると、
まるで大粒と小粒の真珠とが、玉で造られた皿のうえに落ちるかのよう。
そしてその音は、花の下でのびやかにさえずる鷲のようによどみなく、
また、氷の下でかすかにむせびなく水の流れのように滞りがち。
まるで、冷たい泉の流れが凍りついたように絞の音は凝結し、
凝結し途絶えると琵琶の音はしばらくの間やんだ。 
すると今度は、別に深いかなしみやひそかな選が生まれてくる。
こんな時、音のないほうが音のあるより勝っている。
そしてまた演奏されると、その音はまるで銀のかめが急にわれて、水がほとばしり出るようであり、
鉄のよろいをつけた騎兵が突然あらわれて、剣や槍をたたかわせているかのようである。
曲が終わり、バチを手もとに引き、胸さきで大きく弧を描いて絃をはらうと、
四本の絃が一度に鳴り、まるで絹をさくような音がでた。
東の船も西の航も、みなひっそりとして声もなく、
ただ見えるのは、長江のまんなかに、こうこうと白く冴えわたる秋の名月。
女は深いもの思いにうなだれてバチを置き紋にさしはさむと、
衣服の乱れを整え、立ちあがって居ずまいを正した。
そして自分から語っていうには、「わたしはもともと都の女でございます。
家は蝦墓陵のあたりにあり、そこで暮らしておりました。
13の年に琵琶を習得して一人前となり、
その名は歌舞教習所の第一級奏者のうちに連なりました。
曲を弾き終えては師匠を感服させたこともあり、
お化粧が仕あがるといつも秋娘のような美人にさえねたまれるほどでした。
富貴な人々の子弟たちは、争って贈り物をしてくれ、
一曲終わるごとにいただく紅い絹は、数えきれません。
螺鋼細工の雲形のこうがいは、拍子をとって撃ち砕け、
真紅の うす絹のスカートは、酒をこぼして汚してしまうありさま。
今年もそして明年もと、歓楽のうちに時を過ごし、
秋の月、春の風をうかうかと過ごしてきたのでありました。
やがて弟は家を出て軍隊に入り、母も亡くなり、
今日を送り明日を迎えているぅちに、いつしか私の容貌も衰えました。
家の前はさびれ、馬に乗ってやって来る客の姿もまれになり、
そして年老いたわたしは商人の妻になったのでございます。
商人は金もうけばかりが大切で夫婦の離別などとんと気にとめず、
先月、浮梁へお茶を仕入れに出かけてしまいました。
それ以来というもの、わたしは猫のほとりで 夫のいない船を守り、
その船のまわりには月の光が明るく照りはえ、江の水は寒々としています。
夜が更けて、ふと背春時代のできごとを夢にみては、
夢のうちで流した涙が、化粧した顔の脂粉に染まって、紅くはらはらと流れるのでございます」。 
わたしは女の弾く琵琶の音を聞いて嘆息したのだが、
そのうえまたこの話を聞いてさらに深いため息をついた。
わたしも女も、ともに都から遠く離れた天の果てに落ちぶれている身の上。
二人が出会って心が通じあうためには、必ずしも昔からの知りあいでなくてもかまわないのだ。
わたしは去年、都に別れをつげてから、
この舞陽の城に左遷の日々を過ごし、病の床に臥している。
潯陽は小さな田舎まちで音楽とてなく、
わたしは一年中、琵琶や笛などの音を耳にしたことがない。
住まいは溢江に近く土地は低く湿っぽい。
そして黄色い蘆と苦竹とが、家の周囲に生えている。
このあたりで朝夕に聞こえるものといえば、
血を吐いて悲痛になくほととぎすとかなしげになく猿の声だけである。
春のべに咲く花の朝、美しい秋月がかかる夜ともなると、
しばしば、酒を取り寄せては独り枠を傾ける。
きこりの歌や農夫の笛の音がないわけではないが、
粗雑で調子はずれのため、聴いてはいられない。
今夜、あなたの琵琶の音を耳にして、
まるで仙人の音楽でも聞くかのように、わたしの耳も洗われた思いがしました。
どうか辞退しないでください。坐りなおしてもう一曲弾いてくれませんか。
わたしはあなたのために、それを琵琶のうたに作りなおしましょう。
女はわたしのことばに感激してか、長い間立っていたが、
退き坐して琵琶の絃を締めれば、かきならすの音はますますせわしくなる。
悲しく痛ましいその響きは、さきほどの音とは比ぺものにならず、
座中の誰もが、再び演奏を聞いて、それぞれにみな涙でぬれた顔を手でおおった。
なかでも殊に、誰が一番多く涙を流したかといえば、
ほかならぬ江州司馬のこのわたしで、青い上衣を涙でしとどにぬらしてしまったことだ。
<End Formatted Translation>